施設側がとるべきさまざまな対応
介護士が妊娠出産を経験したあと、今までのように仕事ができないことがあります。妊娠期は、自身の体に負担のかかる身体介護をすることが難しくなります。そのため、主に記録や一日の取りまとめを行うその日のリーダー役や、二人介助の補助役、移動介助などの軽い仕事に割り振られることもあります。
このとき問題となるのは、スタッフ間の仕事の不公平さです。妊娠しているスタッフをリーダーや軽い介護に割り振ると、ほかのスタッフに負担が重い介護を割り振る割合が多くなります。ほかのスタッフから不満が出ないように、日勤フリー業務など比較的仕事内容の融通が利く役割を作り、負担バランスを均等にする必要があります。
出産後は、妊娠出産にかかった体力の消耗や、子どもの世話などで夜勤に入ることが難しくなります。夜勤に入れるスタッフが減ると、夜勤時の必要人数の確保のためほかのスタッフが夜勤に入る回数が多くなります。多い時には夜勤を退勤し翌日また夜勤に入ったり、月に日勤が数えるほどしかないといった事態になりかねません。
夜勤手当が多くなり収入は増えますが、日勤が少ないと利用者の活動の様子が掴みにくくなります。この場合、夜勤専従スタッフを雇用し、夜勤時の人数を確保することが有効です。無理なシフトを回避できることと、スタッフがまんべんなく日勤業務に入り全体の状態把握ができるようになります。
夜勤スタッフが複数名いると、夜勤者の突然の欠員などの対応もスムーズになります。無理のないシフトを組むことによってスタッフの意欲も向上し、施設全体の介護の質の向上に繋がります。